一章

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 手合わせを終え、テランのいる本店に着くと空はいつの間にやら赤みを帯びていた。 「すっかり遅くなってしまったの」  苦笑いするココに、エクシブはやはり苦笑いで返す。 「まさに急がば回れ、だな」  その言葉に感心したような表情を浮かべるココ。 「ぬしもなかなか上手いこというの」  エクシブは、ふっと笑う。 「まっ、たまにはな」 「本当にたまにだがの」  すぐに返され顔をひきつらせてココを見ると、そんなエクシブを無視して、すたすたと中へと入っていく。 「おっ。お嬢じゃないですかい。皆、お嬢が来たぞ!」  ココの姿に、荷運びをしていた者たちが集まってくる。  ここの皆、何故かココをお嬢と呼んでいる。  中でも一番がたいのよい男がココの前にやってきて質問した。
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