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彼は鎖鎌のような特殊な武器で相手をいなし、まるで狼か何かの獣のように俊敏に動いては一人、また一人と倒し、気付けば最後の一人となっていたのだ。
強い──。
倒された二人もただの当て身だったらしく、弱々しく立ち上がってはいるが、すでに逃げ腰になっている。
目の前の赤毛の少年は両手をはたき、逃げていくチンピラたちを一瞥して振り返った。
「運が良かったな。俺がここを通ってなけりゃ、あんたら今頃どうなってたか」
エクシブは苦笑いをし、ココは小さくうずくまり震えている。恐らく声を噛み殺しながら笑っているのだろう。人がいなければ今頃大爆笑だ。
「裏通りは、がらの悪いやつらが多い。そんなとこを女連れて歩いていたら襲ってくれって言ってるようなもんだ」
どうやら彼は傭兵の端くれらしい。
確かに身のこなしは軽く腕もたつようだが、
「まあ、わかっただろうからいいか。それじゃ約束通り俺を雇ってくれよ」
勿論約束したつもりはない。
彼は勝手に約束し、勝手に追い払ったのだ。
「さて、どうしたもんだか」
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