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「オソウジシマス……オソウジシマス……オソウジシマス……オソウジシマス……」
段々とその言葉が集まってきて、バラバラだったピースがかっちりと嵌った瞬間、ロボットたちはそのドーム型の頭から一本の光線を放った。
それは一瞬の出来事だった。
第3寮がものすごい地響きを鳴らしてガラガラと崩れ落ちた。
キャーッ!!
第3寮から次々に子供たちが飛び出して来て怪獣映画で東京が壊される時のように散り散りになって逃げていく。それを怪獣とは比べ物にならないほど小さなロボットたちが頭に付いたライトを点滅させながら追いかけ始める。
それはもう地獄を見ているようだった。
逃げ惑う子供たちとキャタピラーを高速回転して追いかけるロボットたちは、赤いサイレンの光の中、生死をかけた追いかけっこをしている。
その光景にかなこたちは、ただただ悲鳴をあげながら抱き合って震えていることしかできなかった。
それからというもの“オソウジロボット”は、予告なしに現れた。
連日姿を現す日もあれば、何日か間を開けることもある。
しかし決まって深夜に現れるため、夜は寝た気がしなかった。
朝目覚めると、その夜犠牲になったらしい子どもたちが何人か減っていることに気づく。
次殺されるのは自分かもしれない。そんな思いがいつだって頭から離れなかった。
徐々に空席が目立ってくると昼間の授業はだんだんと形式的な物になっていった。何日前からだろう、もう出席を取ることもない。先生の頬もだんだんと痩けていき、目の下のクマがひどい。先生も寝ていないのだろう。
寝不足はすべての力を奪っていく。
兄弟のように育った親しい人が消えていくのもそれを加速させて、眠る時間はあの日のあとすぐに減った。
疲弊し体調を崩す子供たちが続出している。
まるで戦時中のようだ。
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