第1章

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アヤトとは学園に来た日が同じということもあって、小さな頃からいつも一緒にいた。 孤児しかいないこの学園では、入学当初は暗く沈み込む子供が多い。 親と死別し、親戚をたらい回しにされたり、邪険にされてここに来る子供ばかりだから仕方がないのかなと思う。 わたしも同じだった。 パパやママが死んでしまったことや、親戚のおじさんやおばさんに厄介がられていたことをいつまでも悲しんで泣いていた。 もう死んでママたちのところへ行きたいと何度も思った。 それでもたった4歳の子供にはどうすることもできず、そんな絶望感に囲まれて、ただ止まらない涙を流し続けるしかなかったんだ。 そんなわたしをいつでも慰めてくれたのがアヤトだった。自分だって辛いはずなのに、いつでもぶっきらぼうで優しい言葉をわたしにくれた。どんなに口が悪くても、本当は優しいことをわたしだけは知っている。だからこそ、わたしは小さい頃からアヤトが大好きだった。 アヤトにはまだ秘密だけれど、大人になったらお嫁さんになってあげようかなって思ってるんだ。 きっとあんな不器用な性格だから、アヤトの良さがわかるのはわたしぐらい。だからわたしが責任を持ってお嫁に行ってあげる。ずっと昔からそう決めてるの。 そんなことを思ってふふふと笑うと、アヤトは「何だよ気持ち悪ぃな」と怪訝な顔をした。 次の瞬間お互い見合って笑う。 深夜の地獄が嘘のような穏やかな時間が流れていた。 「こんな時間がずっと続けばいいのに……」
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