第3章 キャスケット帽子の男の子

2/5
前へ
/32ページ
次へ
ゆっくり起き上がろうとした時、カトレーナの手には、柔らかい感触のものがあった。 「ぅわあっ」 あわてて手を離して、すぐさまシュルクにすがる。 「しゅ…シュルク…なななななにか、あるわ…」 シュルクの腕にまとわりつく両手が小刻みに震えていた。 「姫様、落ち着いてください。何か危害を加えられたわけではないのですから」 シュルクは冷静を装ってはいるけれど、大切な一国の姫を守る騎士であるからにして、いつでも右の腰に備えてある剣を振るえるように、覚悟をしていた。 一生懸命に、目を凝らして一点を二人で見つめた。 「しゅ…シュルクっ!た、大変っ」 いきなり血相を変えて、カトレーナは足元にある〝何か〟を、両手で抱えた。 それは、ネジの止まった…男の子だった。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加