第3章 キャスケット帽子の男の子

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男の子の手を握るカトレーナ。 「けど、シュルク。私は一国の姫として、この国民…男の子を見捨てることはできません。」 シュルクには、カトレーナが逞しくみえた。 「知ってしまった以上、助けないわけにはいきません。」 強い口調でたんたんと話され、シュルクは呆気に取られてしまった。 「しかし姫、助けるとしても、今後の計画を立ててからネジを回したのでよろしいのではないかと…」 シュルクが負けそうになる。 「シュルク…」 ひとつ息を吐く。 「はい…」 こちらも、ひとつ息を吐く。 「私は、歯車を動かしてさしあげたいのです。何事に対しても後先考えていたら、全てにおいて何も行動のできないままになってしまいます。」 男の子を膝に抱え、頭を撫でる。 「この子のネジはとまってしまっている…けど、巻けば生きれるのですよ?今頃、きっと暗い夢の中、怖い夢に怯えてるはずよ…」 それでもシュルクはすぐに賛成はできなかった。 「記憶がないということは…悲しいことだと…姫様が、おっしゃってました…」 カトレーナはシュルクに耳を傾ける。 「この少年が目を覚ませば、先に絶望しかみえなかったら、笑うことのできなかったら、全部…全部、その重たい責任を背負うのは、回した者の責任…とても大変なことです…!!」 どうにか、諦めてくれないかシュルクは、カトレーナにすがってしまった。 「それもそうね…」 カトレーナは、何かを堪えるかのように、顔を歪ませた。
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