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シュルクがホッとした瞬間ーーー
ーーーギリギリ…ギリギリ…ギリギリーー
ネジを回す重たい音がした。
「ひ、姫様っ!!」
血相を変えてシュルクの両手はカトレーナの両肩にのせられる。
「何が責任よっ!!そんなの…私が…」
まだカトレーナはギリギリとネジを回す。
精一杯の力でしめあげるように。
「どんな重たくたって、背負うんだからぁぁぁーーー」
半分叫ぶぐらいの勢いでネジを巻き終えた。
「ひ…姫様…」
ゆっくり巻き上げたネジは、また反対方向にカタカタと軽い音をたてて回り出す。
「シュルク…この子が自分の記憶を望まない限り、私はこの子の姉になりますわ」
カトレーナの決断は生半可なものじゃないと、シュルクは思い知らされた。
こんな眉を切り上げて、真剣な眼差しを受けたのは、きっと初めてのことだった。
「……分かりました。」
「シュルクっ」
カトレーナの表情に笑顔が戻る。
「二人で、この子を守りましょう」
シュルクはカトレーナの左頬に顔を寄せて、ふっと微笑んでみせ、目を覚まそうとする男の子を見つめた。
その時、カトレーナの胸の中で、何か分からない、暖かい…心地良い感情が芽生えていた。
とくんっ…とくんっ…
胸に波打つ鼓動。
頬に広がる暖かい…少し熱い…
そんな感情が…。
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