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暗闇の中に、ボクはどれだけの時間を過ごしたのだろうか。
右も左も、前も後ろも分からない。
目を閉じて…ただこの空間を漂うだけ…
ここずっと、そうやって過ごしていた。
だけど、どうやら今日は違うみたいだ。
瞳を閉じているというのに、光が瞼を突き抜ける。
眩しい…
あぁ…やっと、出口なのか…
「シュルクっ」
「はいっ、姫様」
2人で顔を合わせる。
そう。
少年の瞳が、うっすらと、ゆっくりと、開き出したのだ。
愛らしい顔立ちの少年の瞳は、そのブルーの色に長いまつ毛…
まるで吸い込まれそうなくらい綺麗な瞳だった。
「大丈夫っ!?」
カトレーナは、すぐさま声をかけた。
カトレーナの両腕に抱かれている少年は、まだ状況が掴めていない。
「………???」
半ば寝ぼけているような感じにぼぉーっとカトレーナを見つめる。
「キミ、大丈夫?ここ、どこだか分かる?名前は?お家は?いつからここに居たの?」
まだまだカトレーナには聞きたいことが山ほどあったけれどー
「こほんっ。姫様…少年はまだ意識がはっきりとしてない模様です。静かに状況をよませてあげましょう」
シュルクに止められてしまった。
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