第4章 動き出した少年の歯車

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ゆっくりだけど、何度か少年は瞬きを繰り返す。 長いまつ毛に透明な青い瞳。 ずっと見ていても飽きなかった。 「ボクは…アルフィー…」 やっと言葉を紡いだと思ったら自己紹介だった。 「八歳」 まだ少年の声は幼く、愛らしくも感じる。 「アルフィー…あなた、アルフィーと言うのね」 カトレーナはキラキラ瞳を輝かせた。 「アルフィーは、どうしてこんな所に倒れていたのかしら?」 カトレーナは、すぐさま質問をする。 「……わからない…」 アルフィーは、まだボーとする頭を頑張って動かそうとするけれど、今の自分の前の記憶が真っ白で、本当によく分からなかった。 「じゃ、じゃあ…あなたのお家はどこかしら?ご家族は?」 カトレーナは質問を変えてみるが 「分からない」 と、すぐに返答。 「分からない…分からない…分から…」 アルフィーが、小さな声で、聞き取るのが難しいくらい小さな声で呪文のように唱える。 「分から…ない…」 心配になって、シュルクも声をかける。 「大丈夫かっ?アルフィー…」 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁーーー」 「!!?」 「!!?」 カトレーナとシュルクの二人は、突然のアルフィーの叫び声にびっくりした。 「分からない分からない分からないっ…」 少年の綺麗な瞳からは、光る雫がこぼれ落ちる。 「何にも、思い出せないよ…おねーちゃん…」 カトレーナの着ている、薄い草色のドレスに力いっぱいにすがりついてくる。 力いっぱい… まだまだ幼い、こんな小さな手の拳で、必死にカトレーナのドレスに…
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