第5章 危険なアオレの実

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城の外へ出ると、そこは城下町。 キラキラ輝く海が遠くに見えて、ガヤガヤと町は人で溢れていた。 少し町から外れれば、カトレーナがよく散歩へ出かける森もある。 ネジ巻きの国は、とても自然豊かで、争いごとも無い平和な国なのだ。 そんな輝く町へ足を運んだカトレーナとアルフィー、そして護衛にシュルク。 何をしに来たかというとー… 「すみませーーーん!!以前にこの子を見かけたことのある方は居ませんかぁぁぁー!!?」 町中の良い香りのするパン屋さんの前で、大きな大きな声でカトレーナは叫んだ。 「すみませーーーん!!」 何度も何度も繰り返し大きな声で町の者たちに訪ねた。 もちろん、一国の誰からも愛されてる姫様が、困っているのだから、町の者は皆足を止めてはカトレーナに声をかけていた。 ある老人のおじいさんは… 「姫さんやぁ…大変そーじゃのぉ…。わしは見かけたことは無いがのぉー…また家に戻ってばあ様にでも訪ねてみるがねぇー。頑張ってくれやぁー…」 そう言って、最後に励ましの言葉を添えて去っていった。 ある野菜売りのおばちゃんは… 「あらまぁー姫様やぁ…、困ってるみたいだねぇー…、私は記憶にねぇーが、お客さんにも一人一人訪ねてみるがね、見つかったら城さに報告に行くがねぇ。大変だろーに…さっき採れたリンゴ、皆でお食べぇ」 そう言ってリンゴをあげると、そのまま去っていってしまった。 みんなみんな、何かと気に止めては声をかけてくれていた。 「アルフィー、私ね、あなたのご家族を一生懸命探して見せるわ!!」 アルフィーに向かって、目をキラキラ輝かせ、カトレーナは言った。 今は、まだまだ凄く心に余裕があった。 絶対に見つかると、信じていた。
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