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そんなことがかれこれ一週間は続いた。
一週間も続けば、もう既にカトレーナがわざわざ町へ出向かなくても町中の全ての者が知っていた。
それなのに、一向にアルフィーの家族という者や友人知人…誰一人名乗りに出る者はなかった。
カトレーナはまだまだ探す気力はあったが、しかしアルフィーは暗い表情を隠せなくなっていた。
「お姉様…?」
ぽそっとアルフィーは、綺麗に飾られた装飾品などのカラフルな部屋の真ん中で隣に居るカトレーナに話しかけた。
「ん?なにかしら、アルフィー」
手に持っていた首飾りをこ洒落たアンティーク調の箱に返し、すぐに振り向いて優しく微笑む。
「もう、良いんです…探さなくても」
痛い笑顔を向けられた。
しかし、その両手は拳が握られ、少し震えているようにもみえた。
「け、けど…アルフィー…」
カトレーナは困惑してしまった。
まさか、アルフィーがそんなことを言ってくるとは思っていなかったから。
しかしカトレーナは、なにも言わずにアルフィーの頭を撫でた。
優しく…そう、本当に優しく。
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