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「まーまーまーまー、姫様方…よくぞこんな埃っぽい書庫に参られました…ご機嫌麗しゅう」
暗い書物庫の奥から、顔はしわくちゃで両目が白くて長い眉毛に覆われた老人が向かい入れてくれた。
「まあ、貴方がシュルクのおっしゃっておりましたシャムナスでありますか?」
こんな辺鄙なところに人が居たという、ちょっとしたショックは表に出さないようにして、カトレーナは尋ねる。
「はい、そうでございます。私ももう両手を使ってでも数えられない年である故、まさか姫様をこの目で拝める日が来るやとは思っておりませんでした…ありがたや…」
そう言ってカトレーナに両手を合わせるシャムナス。
「シャムナス殿、例の書物を拝見させていただいても良いですか?」
シュルクが、カトレーナの前に出てシャムナスに本題を切り出した。
「おーおー、そうじゃったな…ちょっとそこに腰をかけて待っておれ」
そう言ってシャムナスは、この薄暗い広い書物庫の奥へと消えていった。
「姫様、こちらへお腰をおかけください
」
そう言って木の椅子を引いて、少し白く積もった埃をシュルクは自分の持っていたハンカチで払い、カトレーナを座らせた。
その隣に、小さな体で椅子を引き、ちょこんと座るアルフィー。
シュルクはそのままカトレーナの後ろで立ちながら待機。
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