第6章 お城の地下

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「シュルク?」 かれこれ10分は待たされた。 カトレーナは口をあけた。 「そちらに収納されてある書物は、読んでもよろしいのかしら?」 カトレーナの掌が示す先をシュルクは見る。 「えと…」 何故だかシュルクは困っていた。 「ど、どうぞ…」 たじろいながら、カトレーナに勧めた。 カトレーナは、椅子から立ち上がり、本棚へと、埃にまみれた煉瓦の床を一歩一歩と蹴り、進んでいく。 なぜ、シュルクがためらったかというと、すぐに分かる。 その本棚の中の一冊…だいぶ黄ばんで綴り紐で簡単に閉じられた、しかし、大切に保管されてあるだろう、この書物。 カトレーナの細くて白い指は、紙をパラっと一枚捲った。 「……」 ゆっくり読み出すかと思いきや、いきなりバラバラバラーっと豪快にめくりだした。 そして… 「シュルクっ!!」 「はっ、はいっ姫様」 いきなり後ろに構えていたシュルクを呼び出した。 それに驚いたアルフィーも慌ててカトレーナに駆け寄った。 「わ…私の知る、文字では理解できませんわ…」 きちんと勉学に勤しんできた一国の姫様にとっては、とても衝撃的だった。 見たことも、触れたこともない、このミミズの這ったような文列。 シュルクは分かっていましたよーっという感じにやれやれと苦笑いを浮かべた。 すると、本棚の隙間を縫うように鈍い足音が近づいてくる。 シャムナスが戻ってきたようだった。
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