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暫く歩くと道が手入れされてない様な、獣道になっていく。
「シュルク?」
カトレーナは、自分の護衛をしてくれているシュルクにたずねた。
「はいっ?」
「貴方は、どうして騎士になんてなったのかしら?」
きっと、カトレーナがシュルクの私情を伺うのはこれが初めてのことだ。
そんなものだから、まさか自分のことを聞いてくるとは思っていなかったシュルクは、少し驚いて言葉がすぐにはでてこなかった。
「騎士だなんて、命を張る仕事じゃない?どうして、命をかけてまで王国につかえようとしたの?」
カトレーナは、ただ退屈なだけだったのか、桃の入った手持ちカゴをブラブラさせながら、真っ直ぐを見据えシュルクにたずねる。
シュルクは、めずらしく動揺して、無意識に右手が頭へいき、髪の毛をいじる仕草がみえた。
「はい…えと、私は…その…」
暫く沈黙が続いた。
カトレーナは踵を返して、はっきりしないシュルクにしびれを切らして振り向く。
「シュルク?私の話聞いてらっしゃるの?」
一筋の風が吹いた。
カトレーナの美しい琥珀色の長いふわふわの髪の毛を揺らした。
「私は…幼子の時から、貴女様をお慕いしておりました」
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