アレ

53/53
前へ
/53ページ
次へ
この日は終始和やかに過ごし、 母が遠野家を後にする頃には 最初の緊張なんて全くなかったかのように、 みんなの間の空気はあたたまっていた。 「じゃあね、望愛はカラダに気を付けること。無理しちゃダメよ」 「うん、わかった」 「渉くんも忙しいからこそ、佐和子さんのごはんちゃんと食べて、ちゃんと寝て、体調、崩さないようにね」 「…はい」 渉さんがクスリと笑った。 「…母親みたいですね」 「そうよ、もうすぐあなたの母親よ」 母もクスッと笑った。 「じゃあ、望愛のこと、お願いします」 「大丈夫ですよ。こっちには…父親がいるから」 渉さんは会長を顎で指した。 「こういう時は父親は当てになりませんよ。佐和子さんがいるので安心してください」 今度は佐和子さんが照れながら頷いた。 こうやって… 繋がっていくのね 私は渉さんの手を握り 母を送り出した。 番外編・第4弾へ続く…
/53ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2944人が本棚に入れています
本棚に追加