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この日は終始和やかに過ごし、
母が遠野家を後にする頃には
最初の緊張なんて全くなかったかのように、
みんなの間の空気はあたたまっていた。
「じゃあね、望愛はカラダに気を付けること。無理しちゃダメよ」
「うん、わかった」
「渉くんも忙しいからこそ、佐和子さんのごはんちゃんと食べて、ちゃんと寝て、体調、崩さないようにね」
「…はい」
渉さんがクスリと笑った。
「…母親みたいですね」
「そうよ、もうすぐあなたの母親よ」
母もクスッと笑った。
「じゃあ、望愛のこと、お願いします」
「大丈夫ですよ。こっちには…父親がいるから」
渉さんは会長を顎で指した。
「こういう時は父親は当てになりませんよ。佐和子さんがいるので安心してください」
今度は佐和子さんが照れながら頷いた。
こうやって…
繋がっていくのね
私は渉さんの手を握り
母を送り出した。
番外編・第4弾へ続く…
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