6人が本棚に入れています
本棚に追加
その日の夜。
全く勉強は進まずに一日が過ぎてしまった。
晋爾は、夕食と風呂をさっさと済ませて、机に向かっていた。
その様子を、ベッドに腰掛けニコニコと笑顔の佳那汰が、風呂から戻ってずっと見ている。
たまらず晋爾が「そんなに見られてると、気が散る…そして穴が空く。」と、振り返りもせずに言った。
「穴は空くか知らないけど、オレのことはお構い無く。」
その言葉に、晋爾は思わず振り向き「そういうことじゃねぇし!!気になるから!」と大声で言っていた。
「晋爾くん、声大きいよ。」
「誰のせいだよ…もういいや、今日はやめる。それよりも、お前に聞きたいことがある。」
「なぜ、オレが王族の話を知っているのか…でしょ?」
「それもだけど…。」
「オレの火傷と、晋爾くん…晋爾様の力。まあ…そろそろ、晋爾様にはお話しなければなりませんね。でなければ、いつまで経っても貴方の不信感は消えないでしょうから。」
突然、黛の口調が変わった。
いつも無邪気に振る舞う黛と、僕の目の前にいる彼は、同一人物か?
「お前…急に…。」
「驚かれるのも無理はありません。オレは、貴方の執事…貴方は、この国の王になるお方なのです、晋爾様。」
晋爾は思わず椅子から立ち上がる。
その前には、膝を付き胸に手を当て頭を下げる佳那汰の姿があった…。
最初のコメントを投稿しよう!