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次の日、晋爾の頭の中には佳那汰が言っていた言葉がグルグルと廻っていた。
何を言っているのか、どういう意味だったのか、全く理解できなかった。
その張本人は、自分の目の前で朝食をとっているのが、なんだか腹立たしく思った。
「晋爾くん、学校行こうよ?」
「…嫌だ、断る。」
「なんで?」
「…行かなくても、教科書見れば出来るし。参考書とか。」
「頭いいんだ?」
「…別に。」
「昨日、高校生がやる問題やってたよね?」
「…中学のは、小学生の時に終わらせた。」
「へぇ。」
こいつは、一体なんなんだろうか?
それを聞いてどうしたいんだ?
別に頭がいいとかそんなのどうでもいいじゃないか。
僕は、生まれてからずっと孤独だ。
だから、やることなんて限られてて…音楽、読書、落書き、勉強。
この四種類をひたすらローテーションした結果なだけだ。
一人でも出来ることの精一杯だ。
そんなことを、眉間にシワを寄せて考えていると「晋爾くん、眉間にシワ寄ってるよ?」と、手を伸ばして人差し指を晋爾の眉間にピっと佳那汰が当てる。
慌てた晋爾は、避けながら「やめろ!」と右手を払った瞬間、佳那汰の手を払った左手から炎が上がってしまった。
「熱っ!」と、そう言った佳那汰の右手は、大火傷を負っていた。
「黛…!」
二人の声に、周りが「なんだ?」「どうした?」「化け物が、怪我させた!」「黛が、火傷してる!」「あいつ、何したんだ?」「化け物め!」と次々と話、大騒ぎになると「うるせぇ!!」と、怪我をした本人である佳那汰が叫ぶと、周りはシンと静まり返る。
「…黛。」
「大丈夫、こんなの大したことじゃない。すぐ治るよ。」と、不安そうに見る晋爾に笑顔を向けて言うと、何事もなかったかのように、朝食を食べはじめると、学校へ行く前に火傷の処置を軽くしてから「晋爾くん、学校行ってくるねぇー。」と、笑顔で登校していった佳那汰の後ろ姿を、なぜか見送ってしまっている晋爾の姿があった。
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