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母さんが好きな人ができた、と言う前からだいたい気づいていた。髪の色が明るくなってて、化粧や服の好みとかもだいぶ変わってきてたからだ。
ま、中学の時は荒れてたから女の化粧や服の好みが変わったらすぐわかる。
きっちゃんに、希愛にんなこと言ったら半殺しかもしれないけどな。あいつ、剣道くそうめぇからな。
だから、再婚相手がきっちゃんの親父だと知った時は、心臓が止まるかと思った。思いがけねぇ幸運、っていうのはこのことか。いや、あいつにとってはとんでもないくらい不幸なのかな。
でも俺はあいつの気持ちなんてつゆ知らず、母さんにそいつの家に引っ越そうと焚きつけた。もちろん母さんは俺の気持ちなんてわかっていない。
俺は嬉しくてずっとあいつの家に行くのを楽しみにしていた。だから、調子に乗りすぎて荷物をめちゃくちゃ持ってきた。
いや、嘘。
あいつの家のレイアウトくらい、とっくの昔から知ってる。部屋数も。
2月13日に、あいつの誕生日の前日に来てぇって言ったのは芝居じみてたかもしれないけどな。
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