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動揺した黒い鎧武は、よろよろと後ずさる。
立ち上がった鎧武は首を傾げながらも戦おうとしたが…
『手を出さないで…』
バロンとなった凪川 零の声がソレを制止した。
『どうし…』
鎧武は最後まで言葉を言えなかった。研ぎ澄まされた殺意の籠った槍先が首許に向いたからである。
『冬摩さんを止めるのは私です…!邪魔をするのであれば、どんな御仁でも叩き潰しますよ…?』
静かなる言葉。それには梃子でも動かない、泰山のような意志が感じられる。
『…わかったよ』
彼女の意思を汲んだ鎧武は、一歩引き、戦いを見守ることにした。
ーーーーーー
目を開けたら、真っ白い天井が見えた。
「んあ…なんだここ」
覚醒した目が、天井以外のものを捉えた。
「あ、起きました?大丈夫ですか耶俥君」
「…先輩?」
何故かいおりん先輩がいる。戦い以降の記憶がないのだが…どうしてこうなった。
「さっき病院から教授の所に連絡があって…」
とりあえず先輩のいる理由がわかったのだが、なぜ自分が病院にいるのかが解せない。
「…そういや、なんで俺ここに」
そう言った時、ドアが開いて一人の男が入ってきた。
「目ぇ覚めたみたいだな」
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