第壱夜

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「もうかよ?」 「そりゃそーでしょー、だって今日実力テストの結果出んだから」 「推薦組は別に気にする事無いだろ?進級出来ないわけじゃないんだし」 「あー、そう言う事言っちゃう?結構凹むもんよ?自分が馬鹿だと突き付けられんのは」  そう言って、龍臣は周囲を示す。  見れば、確かに周囲を歩く生徒達の足取りは一様に重い。  この時間に登校しているのは、殆どがまだ朝練のない新入生か一般入学の生徒達だろう。  ニ、三年も新入生同様、前年度末の期末の結果を元に本日コース分け発表がされる。  だからなのか、皆の表情は暗く、俯きがちだった。 「心はいいよねー、特進コース決定でしょ?」 「そんなんわかんねぇよ」 「大丈夫でしょ?なんせ総代を務めたんですから」  仕返しとばかりに、嫌味っぽく龍臣は言う。 「あのなぁ……入試の成績なんて入学してからはなんの足しにもなんないんだっつーの」  実際、先日の実力テストでも、いくら中学三年間の復習とは言え、解らない問題があった。  勿論事前に勉強したが、それでも国語、数学、英語の三科目全てが特進コースに入れるかは自信がない。
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