第壱夜

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 四月二十七日  すぐ目の前に連休が迫ってきていた。  当初は新しい環境に右往左往していた俺にも、やっと心の余裕が出てきた。  校内で道に迷うことも無くなったし、教師の授業スタイルも大分把握出来た。  クラスメイト達も同様に、部活の先輩やコースで会う他クラスの同級生も含めて、新たな人間関係を構成し始めている。 「お!和希!」 「ん?」  昼休みがあと数分で終わるという頃。  学食で食事を終え教室へと戻ると、クラスの男女が数人、教室の端に集まっていた。 「あれ?大島は?」 「龍臣は部活の先輩に捕まってた」 「あぁ、そう」  男が四人、女が二人。  彼等は、教室で昼食を摂り、そのまま話し込んでいたようだった。  次の授業が移動の必要性もないので、だらだらとやっているのだろう。  周りの連中も、本を読んだり、話をしたり、放送部が行っている映像放送を眺めたり、と自由に過ごしている。 「で?何の話だっけ……?」  手近な椅子へ俺が収まった事を確認すると、会話が再開する。 「だぁかぁらぁ~、七不思議の話!」  窓側の女生徒が口を尖らせ言う。
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