第壱夜

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 本人は可愛いと思っての意識的な表情のようだがちょっと媚び過ぎているように感じる。 「七不思議って……古くないっスか?」  先程から同じやりとりを何度か行った後なのだろう、からかうように俺の隣の男子生徒が返す。  からかわれた事で、話題を提供した女生徒は、口を尖らせたまま頬を膨らました。 「いや、これ結構マジなんだって!!」  すると、不貞腐れた彼女をフォローするように、もう一人の女生徒が口を挟んだ。  入学直後のコース分けで、俺はなんとか三科目全て特進コースに入る事が出来た。  実を言えば、謙遜でもなんでもなく数学に関しては本当にギリギリで、なんとか滑り込めた感じだった。  元々俺は頭が良い訳では決してない。  福寿に入学する為に中二から猛勉強を始めただけの、にわか秀才に過ぎない。下手に入試で好成績を出し、総代なんて務めてしまったもんだから、周りはそうは見てくれない。  その為、なんとか成績しようと、毎日変わらず勉強時間を設け自宅学習を続けている。  特進コースにいる連中は、当たり前のように一般入試の面々だったが、皆日々必死で、やたらに目の敵にしてくる。
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