第壱夜

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 切磋琢磨と言えば聞こえはいいが、競争心が必要以上に強すぎて、常に牽制しあっていて、一緒にいると息が詰まる。  その点、クラスの連中は推薦で入った人間が多く、気兼ねなく声をかけてくれるので、非常に助かっていた。 「その机を間違えて使ってしまうと……」 「使ってしまうと?」 「いじめられて死んでしまった男子生徒に連れてかれちゃうんだって!」  ひそめるようにしていた声音をわざと強め、その娘は話を終えた。 「…………」 「……ナニそれ?」  聴き手に回っていた男子生徒達の反応はそれぞれで、呆れる者もいれば、好機の目を向ける者も、鼻で笑う者もいた。 「何って、七不思議の一つ、呪いの机って話!」  揚々と話を終えた彼女は、さっきまで馬鹿にされて膨れていたと言うのに、何故か今は話せた事に満足したように、自信満々だった。 「そもそもさ、その虐められた奴って、何年前に死んだのよ?」  自然と話の進行役のようになっていた男子生徒がこきおろしを始める。  問いに答えたのは、語り部をしていた彼女ではなく、騎士のように彼女の横に控えるもう一人の女子生徒だった。
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