第壱夜

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「十年前って言ってたかな…………学校が建て替えされる前」 「っつー事は、俺達が小学生ん時って事だろ?俺地元だけど、福寿の生徒が自殺したなんて話知らねぇぞ?」 「そりゃそうでしょ?人死にが出たなんてなれば、学校の名前に傷がつくんだから」 「っにしたって、虐めを苦に自殺なんてなったら、どっかしらのメディアが取り上げるっしょ?」  突如始まった討論は、段々と白熱していく。  しかしその時、割り込むように別の人間が口を開いた。 「あのさっ……!」  高知(タカチ)と言う男子生徒だった。  高知は、七不思議の話が始まってからというもの、ずっと押し黙り、話を聞いていた。  口論していた二人も、突然横から堰を切ったように話し出した高知に思わず目を向けて閉口してしまっていた。 「……あのさ、今の話って……」  高知は、一斉に視線を向けられた事で少したじろいだ。意を決して口を開いた言葉が、自分で思っていたよりも切羽詰まった声になってしまったのだろう。驚いたような顔をしていた。 「呪われた奴はさ、もうどうしようもないの?」  高知はそれでも引き下がらず、おずおずと話し続けた。
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