第壱夜

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「はぁぁ?」 「何!?高知呪いの机見たの?」  たった今まで言い争っていた二人は、正反対の反応を示す。 「いやっ、ちげぇよ!たださ、七不思議って今みたいな話多いだろ?」  詰め寄られ、高知は慌て首を振って否定した。 「見た奴は死ぬとか、呪われるとかさ。でもそんなんで人が死んでたらすっごい死者が出てる事になっちゃうじゃん」  高知は目の前の二人を押し留めながら続けた。  否定派の男子生徒は味方を見つけたとばかりに頷き、肯定派の女子生徒は逆に興味を失ったように椅子へと腰を沈めた。 「だからさ、そういうのって、『こうすれば逃れられる』みたいな話がセットであったりするんじゃないかなって……」  高知の問いに答えたのは、始めに『呪いの机』の怪談話をした彼女だった。 「んー、確か、本当の七不思議を四つ見付ける……だったかな、そうすればいいらしいよ」  彼女は、興味無さげに髪をいじりながら適当に答えた。 「へぇぇ~」  高知は合わせるように、応答する。  そこで、始業を告げるチャイムが鳴った。  反射的に、特に誰かが何かを言うわけでもなく、自然に皆席を立つ。
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