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第弐夜
五月七日
今年のゴールデンウィークは、三日が日曜と重なったものの、五日間という長めの休日となった。
俺としても、久々に親父が家に居られたという事もあり、特別何処かに出掛けたりしなくても、充分充実した休みになった。
一年の大半を海外で過ごす親父が一週間近く家にいるのは本当に久しぶりだった。
三日に一回の頻度で、世界の何処にいようと親父は連絡を寄越してくれてはいたが、話したい事はいつの間にか随分貯まっていた。
「連休でも関係無しか……」
人影の少ない昇降口で、独り呟く。
手の中にあるのは薄っぺらい紙切れ。
普段は独り言なんて頭の中だけで済ます俺も、ここまで粘着質に同じ事を繰り返されると流石にうんざりしていた。
入学して間もない頃に入れられていた紙切れは、ご丁寧にも毎週水曜日になると同じように靴箱に存在していた。
水曜という事に何か意味があるのか、今週先週は休日だったにも関わらず、翌日の朝にしっかりと発見するはめになっていた。
『 次はアナタ
あと21日 』
文面は殆ど変わらず、減っていくのは数字だけ。
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