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前任者達がそうであったように……。
夢か幻だったとでも言うように、始めから無かった事のように、跡形もなく、記憶が消されるのだ。
藍色の本の背表紙には、本来あるべきタイトル表示が無い。
それは決して、厚みがないからでも、抜け落ちたわけでもなく、元々無い。
なんせ背表紙だけではなく、この本にはどこにも表題なんて書かれていない。
何故なら、この本はこの世のどこにも出版等されていないのだから。
中途半端な状態で収まりきっていない本の背を、意を決し押し込んだ。
二度と引き抜かれる事が無いよう祈りながら、限界まで奥へ。
願わくはこれで全て終わりになればいい。
願わくはこの先何も起こらなければいい。
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