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随分と無言の時間が続いてしまった事に気付き、確証を得ようと質問を再会した。
しかし…………
『ごめん、そこまではちょっと……』
返ってきたのは苦笑混じりのそんな言葉だった。
でもまぁ、致し方無い。なんせ当時小学生の有馬先輩が高校生の兄のクラスまで覚えているというのも無理な話だ。
「いえ、大丈夫です。すいません、変な事ばかり訊いて」
俺は直ぐ様フォローを入れる。裏を取れなかったのは残念だが、目処がたったせいかあまり落胆した声音にはならなかった。
「……それと、先輩のほうはどうですか?渡り廊下に関する七不思議は?」
一頻り訊きたい事を訊いた俺は、質問の意図を忘れてもらうため話を切り替える。
直接話していたら随分急激な話題転換だが、電話なお陰か、有馬先輩は不自然さを感じなかったようだ。
『あ、一応『渡り廊下に棲む魔物』っていうのがあるんだけど……』
「へぇ、どんなのです?」
詳細を問われ、先輩は話し始める。
この前ファミレスで話した時に比べると随分明け透けに話してくれるようになっていた。机の影響もあり追い詰められているのかもしれない。
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