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有馬先輩の話す七不思議に耳を傾けながらも、俺の思考は続いていた。
先輩には申し訳ない話だが、本音を言えば話の内容よりもその場所と先輩に何か因果関係があるのかというほうが今は知りたかった。
それに何より、『渡り廊下に棲む魔物』という話を俺は既に知っていた。確かあれは夏休みの宿題を見せてやった時に龍臣に聞いたのだ。
『…………っていう話なんだけど』
「…………なるほど」
わざわざ低くしていた声音をいつも通りのものに戻し、有馬先輩は話を締めくくる。
邪魔にならない程度に相槌を打っていた俺は、神妙に、思案げに言う。
だが、意識の大半は自身の手元に持っていかれていた。そして、思わず――――
「…………そうかっ!」
思考が偶然行き着いた先に衝撃を受けて、前後の脈絡を考えずに声を上げてしまっていた。
受話器の向こうで、ビクリと驚きに跳ねた雰囲気が伝わってくる。
けれど、抑えきれなかった。堪えられなかったのだ。今更ながら単純な符合点に気付いたのだから。
『……ど、どうしたの?』
数秒の間を空け、恐る恐る訊ねてくる先輩に謝辞を入れる余裕すら無い。
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