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釣られるように俺も二羽目を口へと放り込む。
「どんなのだった?」
もうかれこれ三十年近く前の事、覚えているはずもないが肯定されればつい続きが聞きたくなった。
「うんとなぁ……夜中に校庭に人魂が見えるとか、自殺した女の子がピアノを弾いてるとか、格技室に不良番長の霊が出るとか……そんなんだったなぁ」
しかし、予想に反して親父は覚えていた。しかも在り来たりな類いと言えばそれまでだが、未だに語り継がれている本物までがそこには混じっていた。
「……後は?」
「後?そうだな……理科実験室に硫酸を浴びた演劇部員がいるってのと……夜中に校内放送から悲鳴が聞こえる……これで五つか。後一つなんだったかなぁ?」
林檎をくわえたまま、うーん、と考え込む親父。
「なんで五つ?七不思議なんだから七つだろ?」
「なーに言ってんだ、七不思議の最後は欠番が当たり前だろ?」
「欠番?」
「あぁ、七不思議を六つ総て知ると七つ目の呪いが発動して呪われるってやつだよ」
「……そうなのか?」
現在の福寿では表題やら三つ周囲に話すという制約やら本物云々が先行していて、そんな話はされていない。
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