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それに藍色の本にはしっかりと七つ目を記載する頁まであったはずだ……。
「うーん、あと一つなんだったかなぁ?父さん卒業製作で福寿の七不思議に纏わるレポートまとめたんだけどなぁ~……」
「レポート?」
「あぁ、父さん歴史研究会って部活でそういうの書いたんだよ」
卒業製作で七不思議……またしてもどこかで聞いた話だ。
結局福寿はいつの時代も七不思議に振り回されているという事なのだろうか。
「お父さん、『びっちょぐっちょ』よ」
親父が額に手を当て唸りながら記憶を辿っていると、三人分の紅茶を淹れた母さんが聞き慣れない言葉と共にやってきた。
「『びっちょぐっちょ』?」
「そうだ!プールに潜む妖怪ビッチョグッチョだ!」
喉に詰まった魚の小骨が取れた時のやうな顔をして、親父はぱんっと両手を打ちならした。
「ナニソレ?」
どうにも稚拙というか、センスのないそのネーミングに口元が引き吊る。
「プールにな、いるんだよ。そういう妖怪が」
「へぇ……」
プールという事は、今でいう『水底の呼び声』とリンクするものだろうか?いや、あれは昔の理科実験室に準えたものが真実か……
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