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「私も勿論そうだったけど、私より先に塾に通っていた親友はもっと熱を上げてた。しかも親友はお父さんと志望校が同じだったから、尚更。絶対同じ学校に受かって告白するって凄く一生懸命で……でも福寿には行けなかった…………」
熱を帯びて話す母さんの目が僅かに憂う。その親友と言うのが未だに供養し続けている例の親友を差しているのだと分かった。
「…………だから、お父さんと再会してお付き合いを始めた時にはよく福寿の話をしてもらったの。どんな学校でした~?ってね」
最後はそう締め括って笑い、紅茶で喉を湿すと再び林檎をつまんだ。
大量に身を寄せあっていた兎は随分と仲間の数を減らしていた。
「あの時はびっくりしたなぁ、拓真さんの妹さんとして紹介されたら知ってる人だったんだから」
「お父さん、あれ?純ちゃん?って目真ん丸にして驚いてたもんねぇ。塾に通ってた時は一度も話した事ないのに、よく知ってたなってこっちまでビックリしちゃった」
「そりゃあ覚えてるよ、なんせ母さんは昔から美人だったから」
「そんな事言って、どうせ女の子の名前は全部覚えてたんじゃないの~?」
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