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それに、俺がこれから会いに行く相手は神社の神職の方、暁さんの話では信頼出来る力と人格の持ち主だと言うが、それはそれでなんというか落ち着かないではないか。
「なんつーか、そういう人なんだよ……俺も始めはかなり気がひけたケド」
諦めろと言わんばかりに肩を二度叩かれる。どうやら、暁さん自身も殆ど同じ状況になったことがあるようだった。
「それにそのほうが良い場合もあるしさ…………あ、こっちだ。結構暗いから気をつけろよ」
付け加えるようにボソリと溢して、誤魔化すように道を示す。
云われた先には、若宮神社の所在を示す立札が立っていた。
調度山の中腹辺りの位置。
立札の脇には雑木林に囲まれるような小路が更に上へと伸びている。道幅はせいぜい二人がすれ違える程度で、今は正月だからか提灯が所々にたてられているが辺りに街灯もなく確かに薄暗い。
この路の先に若宮神社があるのだろう。
「ほら、行くぞ?」
暁さんは馴れた様子で、既に小路へと侵入している。暁さんの橙に近い色の髮が提灯の灯りに照らされ、朝焼けのような色に見えた。
提灯に照らされたその路は神秘的な雰囲気に包まれていた。
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