第壱夜

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 合格発表の際にいたと言う事は、彼女も俺と同じように、難関と言われるこの学校の一般受験に合格したという事だった。 「……そう」  言っている意味が伝わっているのか、いないのか、彼女は仕返しとばかりに俺の顔をまじまじと見つめ返すと、ニッコリと笑んだ。 「……お互い高校生活を満喫しましょうね」  彼女は軽くあしらうようにそう言って、とっとと踵を返す。 「え、……あぁ」  思ってもみない言葉を投げ掛けられ上手く反応出来なかった。  変な奴に思われたかな、と更に何か声をかけようとする間に、彼女は黒髪を靡かせ、立ち去ってしまう。  その後ろ姿は、やはり以前見た時同様、絵画を切り取ったように印象的だった。  その時、突然バンっと背中を叩かれた。 「おいっ!心(シン)っ!」  続け様に名を呼ばれ、故意に叩かれた事が解る。  その軽快な声の調子と力加減を知らない叩きかたで、誰かは検討がついた。  ヒリヒリと痛む背中を擦りながら、眉をしかめて振り返る。 「……龍臣(タツオミ)。そろそろ力加減を学べ」 「悪ぃ悪ぃ。なんかぼーっと突っ立ってるからさ」
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