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「これからは、ちょくちょく会いに来るから、なんて言っておいてちっとも来てくれないよね」
パクリと飲茶を口に運びながら、少し恨みがましく言う。
「今は修業の身やしな。
それより、仕事はどうや?」
簡単に言ってフカヒレの姿煮を口に運んだ。
――やっぱり、美味いな。
神戸中華街の名店。
久しぶりに食べに来た。
「……うん、まあまあ」
「まあまあ、ってなんやねん」
「やっぱり大変だよ。
建築業界って、軽くブラック企業だしね」
と肩をすくめる。
「せっかく神戸大を出て、大手に就職したんやから、しっかりやり。彼女はおらんのかいな」
「……いないよ」
ユキはそう言って自嘲的な笑みを浮かべた。
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