episode12 『百花繚乱』

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「……はよイイ人見付けて、結婚して、僕に子どもの顔 見せてや」 何も気付かない振りをしてそんな風に言う。 ユキは一瞬、ひどく傷付いた表情を浮かべたかと思うと、 「やだな、真也くん。 まるで、お父さんみたいなことを言うんだね」 と、痛々しいような笑顔を見せた。 「父親みたいなもんやろ」 「んー、父親というより、兄さんかな」 「ほんまやな。 ユキは大事な弟やで」 「……うん」 ユキは目と鼻先を赤くさせて、力なく笑う。 ――ほんまに、ずっと守って来た大切な存在だけに、決まり悪い。胸が痛むわ。
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