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食事を終えたあとユキと別れて、久々神戸の中華街を歩いた。
相変わらず、賑やかで鮮やかでゴチャゴチャとしている。
僕の育った兵庫は、富裕と貧困、上品と下品、美しさと醜さ、そんなものが極端で、ゴチャゴチャと入り混じっている。
そして、その最下層の方にいた自分。
――昔、自分の描いた贋作を本物と偽って、芦屋の豪邸に運んだことがあった。
まるで古城のような洋館の応接室に大切に飾られた僕の贋作。
あの時の言葉に出来ない、優越感と興奮。
それはすべて、勝手な復讐心だったんやな、と今になって思う。
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