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「なんやそれ、どういうことやねん」
改めて、ちゃんと話を聞くと、美術館の視察に、家頭誠司と、その孫で弟子の清貴が訪れたらしい。
ジジイである家頭誠司は、すぐにソファーに座って、こう命じたそうだ。
『清貴、お前がまず全部観てまわれ。不審な物があったら、わしに知らせ』
清貴はその指示に従って、作品を確認し、そこにあった僕の贋作を見抜き、じいさんに報告したと、
そういうことらしい。
――まだ、学生の坊(ぼん)が、僕の贋作を見破った。
胸の内側に、ふつふつと沸きあがる熱い思い。
ただ、会いたい。
とにかく、その家頭清貴に会って、確かめずにはいられなかった。
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