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公園のベンチ。
葵は僕が見せた白磁の画像を見ながら、静かにこう告げた。
「いえ――この写真は、あの時の白磁ではないです」
迷いのない声やった。
「画面越しでも、まるで別物だってことが分かります。
これは、あの白磁ではないです」
強い眼差しを見せる。
――驚いた。
ほんまに驚いた。
こいつは――たいした奴なんやな。
この時、僕は、はじめて女を認めた。
僕にとって女は性欲を処理する相手か、そうじゃなければめんどいから無視する、
その二通りしかない。
尊敬する女なんて出会うたことがなかった。
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