episode12 『百花繚乱』

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公園のベンチ。 葵は僕が見せた白磁の画像を見ながら、静かにこう告げた。 「いえ――この写真は、あの時の白磁ではないです」 迷いのない声やった。 「画面越しでも、まるで別物だってことが分かります。 これは、あの白磁ではないです」 強い眼差しを見せる。 ――驚いた。 ほんまに驚いた。 こいつは――たいした奴なんやな。 この時、僕は、はじめて女を認めた。 僕にとって女は性欲を処理する相手か、そうじゃなければめんどいから無視する、 その二通りしかない。 尊敬する女なんて出会うたことがなかった。
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