episode2 『秋の終わりに』

66/140
前へ
/874ページ
次へ
二人で用意された浴衣とタオルを手に、いそいそと部屋を出る準備をする。 「――そういえば、ホームズさん、さっき仲居さんにお手紙みたいなのを渡していましたよね? あれはなんだったんですか?」 そう、私が部屋に夢中になっている間、仲居さんが部屋を出る前に、出口まで行って封筒みたいなのを渡していた。 「ああ、あれは、心付けですよ」 「心付け、って。 ……チップってことですか?」 ポカンとした私に、ホームズさんは苦笑した。 「僕の中では、ちょっとニュアンスが違うんですが、まぁ、そういうことですね」
/874ページ

最初のコメントを投稿しよう!

25705人が本棚に入れています
本棚に追加