episode2 『秋の終わりに』

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なるほど、『心付け』を渡すべきか渡さないべきかではなく、 それを自然に渡せるような心の余裕のある者に、豊かさがついてくる。 家頭家はそう信じているわけなんだ。 なんだか感動してしまった。 「つまり、回りまわって、『心付け』は、自分が豊かになる為にやってるってことになりますね。 腹黒いやろ?」 ニッとイタズラな笑みを浮かべたホームズさんに、プッと笑ってしまった。 あえてこんな風に言う。 そんなホームズさんも好きだなと思う。 「そうですね、『情けは人の為ならず』ってやつですね」 「そういうことですね。 それでは温泉に行きましょうか」 「はい」 浴衣を胸に抱いて、部屋を出た。
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