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ほかの３人はクニの文句の相手をしなかった。数学や教練でいつも真っ先に文句をいうのが、クニの性格である。その割に嫌われないのは、おかしな出世欲や妬(ねた)みがないせいかもしれない。クニの目標は無事に進駐官を早期退職して、閑職(かんしょく)の地方公務員にでも天下りして、老後をのんびりと暮らすことなのだ。
ジョージがクニを無視して興味深そうにテルに質問した。
「今日の柔術の時間、テルはずっと佐竹(さたけ)さんと乱取りしてたよね。手わせしてみて、あの人どうだった？」
暗い夜の廊下は節電のため、３本に１本しか明かりがつけられていなかった。テルは不思議そうにいった。
「なんか手ごたえがなかった」
「どういう意味だ」
「勝負は半々で、一本とったりとられたりなんだが、佐竹さんはまるでやる気がないんだ。こっちは毎回殺すつもりで攻めこんでるんだけど、それでも半々までしかいかない」
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