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「出たな、変態。成敗してくれる……あれ、男子便にきてるのは、わたしたちのほうか」  個室からスナイパーの歌川亜紀(うたかわあき)と成績は抜群だが天然の幸野丸美(こうのまるみ)が顔をだした。マルミがため息をついた。 「あーあ、今日はタツオくんたちがくるまでに間にあわなかった」  この一週間ほど、奇妙に柔術場の男子便所がきれいなことが多かった。タツオたちも不思議に思っていたが、たぶん暁島会(ぎょうとうかい)のメンバーが3組1班を不憫(ふびん)に感じて便所掃除の手助けをしてくれているのだろうと想像していた。  タツオがいった。 「サイコたちが掃除してくれていたのか」  サイコはさばさばという。 「まあね。久本(ひさもと)のおじさん、ちいさな頃からお兄ちゃんに甘かったんだ。依怙贔屓(えこひいき)でタツオの班だけ罰をくらったと聞いて、ちょっとかわいそうだなと思ったの」
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