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「僕が決めることじゃないよ? だけどさ、めっちゃ目が悪いじゃん、翔ちゃん」
「目は悪いけど、なんとかなるだろ? 俺は『モノクル』を着けたいんだよ!」
『モノクル』とは片眼鏡。
テレビドラマの執事役なんかが、洒落乙でつける片眼鏡だ。
「モノクルねぇ……作るのも面倒だし、そもそも参考にする元が無いから分からないし……買っても高いんだよ??
コスプレで遊ぶ範疇を超えてるよ」
『頼むよ』という翔ちゃんの懇願は10分ほど続いた。
「無理だって、翔ちゃん目が悪いからまずそれが無理!」
頑なに言い放つその様子に、翔は怒りよりも好奇心が増したらしい。
「やってみるか!?」
「いいよ、メガネをずらしてさ、片方の目だけに当てて真っ直ぐ歩いてみてよ」
翔はムキになったのか、助手席から勢いよく降りて試し始めた。ドアも開いたままで。
フクも表に出て、二人でなにやら騒ぎ始めた。
「……どう!? それでポーズとかとれるの!?」
「……ポーズはとれるけど、まずいかも」
車に戻り、開口一番でフクが切り出した。
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