第1章

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家の家具も、なんでもかんでも人間サイズなので やたらと不便なのだ。特にコロコロと呼ばれる 掃除器具は、便利ではあるのだが生前の因縁から 大嫌いなので、丁寧にゴミを拾って集める。  この健気さ!飼い主様への忠誠! 以上、このレア三毛猫ライト様の自己紹介である。 **********************  で、実は今回の本題は極めて短い。 メメ様がインド取材旅行から戻ってからの事。  あまり我が主君を悪く言いたくはないが メメ様の原稿料は対して高くない。これは編集さん それから町内のスーパーでの食品や、ペットショップの キャットフードの特売から、割り出した。  ならばこそ。アシスタントでも飼い猫でもいいから 俺が頑張ってメメ様の、崇高なる作品を世間に伝えニャ! (ちなみに主に、ラブコメかBLが多い。)  そう思って今宵も原稿の手直しをしていた。 夜遅くに、メメ様はご帰宅された。一戸建てでも郊外なので あまり遅いと、レディであらせられるメメ様に危険が無いか 心配していた所なので、ホッとした。  何やら本日は友人と会って来るとの事。 チャイムが鳴ったので、カギを開けた。 「遅くなってごめんね?!これクマール! インドで、いっぱい案内してくれたんだよ?! ライちん(最近、こう呼ばれてる。)ご挨拶しなさい!」  凄い酔っ払ってるのが、一目瞭然である。 「は、はぁ。メメ様が大変にお世話になりました。 心から感謝致します。クマール様。『夜分遅くではありますが!』 宜しければ、お茶(漬)など一杯いかがでしょうか!」 『ハックション!ご、ごめねー!メメー!ワタシ キャット大好きだけど、アレルギーなのね!』 《え?!》  気付いたら俺は庭に放り出されていた。 夏は過ぎた。夜風が染みる。いや、一寸待て。 ここはメメ様と、お仕えするライト様(三毛レア)の牙城にて!  そっと、網戸が開きメメ様の鋭い、ジャガーのような 眼光が俺を突き刺した。 「善行・功徳。わかってるよね。私のダーリンかもしれないの。 理解できたのなら、暫くの間は橋の下にでも住んでなさい。」 !!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!  いや、待て、聞き違いという事もあるだろう! あのお優しいメメ様が、このような仕打ちをする等、 絶対にありえないのだ!俺も人間生活に慣れたものだ。 ヒゲや耳まで、鈍ると恥かしい限りだ。フハハハハハ!
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