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転生前なら出来ぬ網戸の開け閉めなど、今の俺には
そのカギの管理を任され、戸締りの主任に抜擢されたほど。
カラカラカラカラ。
あれ?メメ様が睨んでおられる。後ろでイケメンインド人が
クシャミをしている。
「判らないようね。しばらく旅にでも行って
功徳を積んできなさい!」
ドドドドドグワワワーンンンンンンンン!
明らかに、メメ様はハンターの眼である。
勝ち目はない。ここはメメ様のお言葉に従おう。
メメ様の弱点。それは男運が物凄くないのだ。
というわけで、俺は転生してあっというまに
我が家を失ったのだが。これは修行であって、グス。
決して、捨てられたわけでもなく、グス。
三毛猫のオスはレアだから、高く売れるし三味線の皮
いやいやいやいや。冗談じゃねえ!!
そんなこんなで、猫なんですがクール宅急便の
仕分け倉庫の管理アルバイトに受かりました。
東京湾にある某倉庫です。魚介類が多いのです。
ここの仕事はなんていうか、一言で申し上げますと
漫画のトーンや修正作業に比べますと、まぁ一言で。
『寒い!凍る!死ぬ!一回死んでても、また死ぬ!』
コタツコタツコタツ。これはHP快復の呪文です。
この冷凍倉庫で、死ぬかも!休憩時間に走り回って
体温を急上昇させる。近所の港の猟師さんから魚を貰う。
アラでもホネでも、奇妙な肉でも何でも食う。
朝飯さえ食えばパワーは出るのだ!猫は夜行性とか無視!
獲れたてニャ!すげー美味いニャ!缶詰なんか缶詰なんか。
でも、帰りたいです。
主任さんから、よく頑張ってるとお給料をUPして頂きました。
でも、多分これは生き残る為で、善行でも功徳でも……。
一ヶ月も過ぎれば、猫でもなかなか逞しく筋肉が。
いや三毛でよく見えないけど、今後は片手でフライパンくらい。
今後……。俺はメメ様の元に帰れるのだろうか。
メメ様。ライトはくじけません!
「ネコくーん、昼休み終るよー。」
「あ、ハーイ!すぐ戻りますニャア!」
ああ、海とは何て壮大なのだろう。
ここに何万という美味しいアジや秋刀魚がいるのだ。
海に敬意を。海は美しい。本当に美しいニャ。
『HAHAHA!海は美しい、潮風の優しさが故郷の
ガンジスの流れを撫でるような、風のようさ!』
《まぁ!クマールさんったら、詩人なのね!》
『HAHAHA!普通の事だよ!でも、普通じゃない
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