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今日は世間一般で言うところのクリスマスイブ。
前々から予約をしていた店に彼女とふたりで訪れた。
窓外からは客室の窓の灯りをツリーに見立てた高層ホテルと東京の夜景がパノラマのように広がる。
席にはあらかじめ赤いバラの花束を用意しておいた。
彼にエスコートされた彼女は、窓からの風景に小さく感嘆の声を上げ、両手いっぱいのバラに瞳を輝かした。
彼女と会う時は欠かさず小さな花を贈っていた。けれど、ここまで大きなバラを花束にしたものは初めてだった。
些細なプレゼントでも本心から喜ぶ彼女を見て彼は思う、ふたりでクリスマスを過ごすのは初めてかもしれないと。
つきあい始めてもうすぐ3年。3年目の正直で、クリスマスディナーがやっと実現した。
去年も一昨年もこの時期は、都合がどうしてもつかなくて、イベントとしてのクリスマスは成立しなかった。
恋人同士でありながら、クリスマスというイベントを共に過ごせないなどありえない。
この3年の間、彼は日本と海外を往復し、彼女は日本で、それぞれのつとめや学業をおさめながらも着実にふたりの関係を温めあってきた。
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