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「はぁ、そら異世界に行ってみたいとは言ったよ?面もイケメンになったし身体能力の向上もしてもらった、チート能力も貰ってさぁド派手に楽しもうと意気揚々と扉を潜ったよ。新しい人生の始まりだとか浮かれまくったよ?でもさ、でもさ、これはお約束過ぎるだろアホが~~~!!!」
長い独り言と叫びを上げながら青年は遥か上空から地面に向かって絶賛落下なうである。
「いやいや待てよ待てよマジ待てYO!?新しい人生開始早々リタイアとか、ふざけるなァ!だよ!」
地面衝突まで後2分。
「つかどんだけ高いんだよここ…。まだ着かない、てか摩擦で若干熱いwww」
幾らか気分が落ち着いた状況で打開策を青年は考える。
地面衝突まで後1分半。
「あ、いやなんとかなるか」
言うと青年は体勢を整え仰向けの状態になると、右拳を握り振り上げた。
地面衝突まで後1分。
「失敗したら新しい人生オジャンだよな~…。ちゃんと発動しろよ~…」
地面衝突まで30秒を切り、その体が思いきり大地に叩きつけられそうになった瞬間、青年は振り上げた拳で大地を殴った。
「オ、ラァ!」
トン、という軽い共に、青年は無傷で着地する。
「うわ、ちゃんと発動してら…。一応念じた時点で発動するみたいには言ってたな~、まぁいいや民家さ~がそ♪」
時間を遡ること一時間前。青年は1人部屋でだらけていた。
~青年が元いた世界の自宅・自分の部屋~
「つっまんね…、学校も、家も…、この世界なにもかも…。あ~あ、小説みたく異世界への転生とか無いかな~。……んなもんねぇわな、寝よ…」
暫くして青年の目が覚めると、さっきまでいた自分の部屋ではなくピンクの壁と可愛らしいぬいぐるみだらけの部屋にいた。
「んだここ…?夢か?女子の部屋に来てる夢か?っは、どんだけ飢えてんだよ俺…」
自嘲気味に笑うと部屋の扉を開けて1人の少女が入ってきた。
「あ、目が覚めたんですね~。お茶淹れましたから飲みませんか?」
デフォルメされた熊の絵が書かれたピンクのエプロンを着ている少女は手に乗せていたお盆を絨毯の上に置くとカップに紅茶を注ぎ始めた。
「………誰だ?」
青年はこの少女を見たことがないと断言できた。
青年から見たその少女は1度会ったならば忘れないであろうと思えるほどの美少女だったからだ。
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