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持ち物検査が終わると、ダンは右手に黒いリングが嵌められる。
「これは?」
「知らないのか?それは魔力を抑える枷だ、それを着けていると魔法の発動がほぼ不可能になる」
「そうか、んじゃまぁ検査も終わって枷も着けたし、入ってもいいな?」
門番は短く構わん、とだけ言うと門を開いた。
城に入り、さっそく近くのメイドに声をかける。
「なぁ、そこのメイドさん。王室はどこだ?」
「あ、お客様ですか。謁見の間にご案内致します。こちらへ」
ダンは素直にメイドに着いていくと、無駄に大きな扉の前に連れてこられた。
「ここが謁見の間でございます。では…」
小さく会釈をして、メイドは仕事に戻る。
ダンは扉を開けて中に入る。すると一番奥に座っている恰幅の良い冠を被った男性がダンの方を向いた。
「そなたは誰だ?何用でここに来た」
王が低く渋い声でダンに問いかける。
「俺はダン=ブレバード、旅人です。この度はこの国を訪れ、暫く滞在しようと思い、王であるあなたに挨拶をしに来ました」
「ほう旅人か、なら1つ旅の話を聞かせてはくれないか。私が満足できるような話をしてくれたなら、滞在期間中はこの城に泊めてやろう」
「ならこの国に来る直前の話でも。俺がこの国に来る際、東の森を通ったのですが、その時に巨人族の者数人に襲われました」
巨人族の名前が出た途端王は話に食いついてきた。
「ほう巨人族に、それは大変だったの。して、その状況、どうやって乗りきった」
ダンはニヤリと笑い続きを話す。
「たいした話ではありませんが、私は自身の能力により数人の巨人族を見事仕留めてまいりました」
巨人族を仕留めたと聞いた王の反応はとても冷めたものだった。
「つまらぬ嘘をつくでない、お主のような小僧に倒せるわけがなかろう。私は嘘つきには興味がない、早々に失せろ」
「なら1つ、私が嘘吐きかどうか確かめてみませんか?」
「なに?」
シカ
王は顔を顰めつつもダンの話に耳を傾ける。
「この城の兵を好きな数お呼びください、その兵を全て倒してみせましょう」
「ふん、くだらん。今のは聞かなかったことにしてやろう。立ち去るがよい」
「自国の兵に自信がないのですか?ホラ吹き小僧1人に負けては面子丸つぶれでしょうから仕方ないことではありますが」
「安い挑発だが、のってやろう。後悔するでないぞ…」
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