第1章

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   ――**  ベッドの縁に腰かけ、ちらり手元を見た。  おざなりになった眼鏡が、そっぽを向いて転がっている。  見えてるものは同じはずなのに、眼鏡の奥の彼の瞳は、何か違う世界を見ているんじゃないかって。  同じ世界を見たい。  もしかして、そうすることで彼の心の中も見えるような、そんな気がして。  ――かられた欲求。  私は、手にしていた彼の眼鏡をかけてみる。  くらり、視界がぼやけるだけで、彼と同じ、景色のひとつも見えやしない。  そんなの、初めっから分かってたはず……なのに、仏頂面で唇を尖らせる。  やっぱり……、  ――卑怯だ。  私は、ただ視界を悪くするだけの彼の眼鏡をかけたまま、振り返って訊いた。  ねぇ、 「どうして、私なんですか?」  度の合わないレンズの端に覗く彼を確認しようとして、自然と上目遣いになる。  
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